
最近、保育士さんから
「メディアで見たのですが、ダンゴムシポーズは危険で、カエルのポーズが安全なんですか?」
という質問をいただくことが増えています。
それだけ関心が高まり、先生方が子どもたちの安全を真剣に考えている証拠だと感じています。
むしろ何も疑問に思わず、「そうなんだ」と一方向の情報だけで判断してしまう状況の方が気になっています。
私自身、カエルのポーズを初めて知ったとき、視界が確保しやすい・状況把握がしやすいなど、場面によってはとても有効だと感じました。
移動が必要な場面では役立つこともあり、実際に保育現場でもカエルのポーズを伝えています。
ただ、幼児の身体発達という視点に立つと、大地震のようなときにはカエルのポーズは大きなリスクが伴うということも、あわせて知っておく必要があります。
幼児はまだ体幹や筋力が未熟で、頭部は体に比べて大きく重く、衝撃が加わると頸椎に負荷がかかりやすい構造になっています。
さらに、驚いたときに身体を縮める“原始反射”が働くため、とっさの場面では身体を丸める姿勢の方が自然で再現性が高いことが多いのです。
丸まる姿勢には、
・頭の重心が低くなる
・頸椎への負荷が減る
・四肢が体の近くにまとまり衝撃に強い
という構造的なメリットがあります。
一方でカエルのポーズは、
しゃがむ・手をつく・頭を守るという複数動作を同時に行う必要があり、
特に3〜4歳の体幹が未熟な時期には首が大きく振られたり、姿勢が崩れて逆に危険になることがあります。
突然起こる災害に反射的に身体を丸めようとする中で、腕を伸ばすポーズを取ることが可能かというところにも疑問が残ります。
これは「カエルが悪い」という話ではなく、幼児の発育段階と姿勢の難易度が合っていない場面があるということです。
本来、災害時の安全行動は
その場の状況 × 子どもの発達 × 守るべき部位(特に頸椎)
によって変わります。
だからこそ、どれか一つを“正解”として固定するのではなく、
状況に応じて安全性が高い姿勢を選べることが、子どもを守る力につながります。
最近はメディアの伝え方によって「カエルが正しい」「ダンゴムシは危険」という単純な構図で受け取られてしまうことがありますが、子どもたちの身体は一人ひとり違い、発達段階も環境も異なります。
それを見極められるのは、日々子どもを見ている保育士さんです。
大切なのは、姿勢の形ではなく、
“どうすればその子の命を守れるか”という目的を共有すること。
カエルでも、ダンゴムシでも、階段なら手すりにしがみつくナマケモノ姿勢でも、
状況に合わせて選べることこそが、本来の命を守る行動になります。
そして、子どもたちへの防災教育ももちろん大切ですが、
まずは保育士自身が「子どもを守るための選択肢をたくさん知っている」ことが、すべての土台になります。
その引き出しが増えるほど、どんな場面でも子どもたちを守るための最適な選択ができるようになります。
だからこそ、保育士たちが常に学ぶ姿勢が大切です。
メディアの情報を鵜吞みにせず、疑問に思ったらとことん調べてみてくださいね。


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